テンペラ画ノート

2009.05.26.Tue
 久々のブログ更新です。

テンペラ画ノート (みみずく・アートシリーズ)テンペラ画ノート (みみずく・アートシリーズ)
(1990/08)
視覚デザイン研究所

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 僕は高校時代美術部で、三日で描いた絵が市民美術展文化協会会長賞を受賞した経歴があります。。
 大体高校で美術をとった人というのは油絵をやると思うんですが、あの水彩と相容れない独特の感触に最初は戸惑う人が多いんではないでしょうか。僕もその一人で、授業の時間だけでは油絵というものの描き方や道具の扱い方に理解ができず、道具に弄ばれていた感じがありました。
 
 そういうわけで美術部に入ったわけでもなかったんですが、美術部に入って初めて「3日で油彩を完成させる」みたいな集まりに参加して、朝電車に乗って会場まで行って、夕方まで絵を描き続けるんですが、あそこで初めて自分の油彩にある程度納得できるものを描いた気がします。
 油絵というのは固まるのが遅くそれまでには何度も書き直しできるので、そういう意味では油絵は初心者向きでもあるとよく言われます。

 で本書なんですが、この本は90年発行以来ずっと重版を重ねられて現在に至るというテンペラ画の教科書的な存在です。
 テンペラ画というのはかつては教会のイコンとして描かれたり油絵よりも古い画法で、クリムトなどによって再び使われる用になった技法だそうです。この技法のユニークな点は、卵を媒体に用いることで、水と油を混ぜることができ、油絵の上から水で溶いた画具を載せることができるという点です。
 水で濃淡を調節することができるので油と違ってシャープな描きこみを得意とします。油絵の古典技法というのは白でモデリングしながら、フィルム状の色を何度も重ね塗りするといったものですが、油絵を知っていくと避けて通れないのがテンペラなのです。
 一般的な使用法としてはモデリングや修正の白だけをテンペラで利用し、グレースは油彩で行うんですがこれを混合技法と呼ばれ、テンペラメディウムの作り方やグレース液の作り方や、ハッチング(線描)についてや支持体についてや、金箔の貼り方、グラフィートや刻印についてまで良く書かれています。

 テンペラ画は細密描写に向いていますが、作業に時間がかかり、大掛かりの修正もやや難しいんですが、そうしてできた作品は圧倒されるものがあります。
 

 表現したいものというのは、言葉にしていくと、どんどんちがってきて、そう考えるとはっきりとはわからないし、絵の場合、描く技術と表現は表裏一体なので、常に探している状態ですが、人物にはいちばん興味があります。肖像としての人物ではなく、人物がいる空間っていうんでしょうか。モデルを写真に撮り、それを見て描きます。写真を使うことに意味を見つけられたらと思っていますが、フォトリアリズムを目指しているわけではありません。写真とはちがう世界を作りたいと思っています。写真を使うことで、いつでも手法への危機感を持っていられるし、自分の想いがより明確になります。―――(大矢英雄、p89)



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